火曜日, 6月 16, 2009

【クラウドコンピューティング】 パブリッククラウドとビジネスモデル このエントリーを含むはてなブックマーク


 昨日、クラウド研究会のメーリングリストのなかで面白い議論を見つけた。これは、public cloudとprivate cloudの違いという感じの話から始まった。私は、クラウドのバズワード化に拍車をかけている現状、つまり、ITベンダー各社がこぞってクラウド対応を発表していて、何が本質で、何をクラウドと呼べばいいのか分からなくなってきた状態を整理するという意味で面白いと思った。(でも最後は不都合があって、もうしないと宣言されてしまったのだが・・)

技術要素について:M先生

 パブリック・クラウドには、これまでのサーバ技術にはなかった、次のような新しい技術的な内実があります。

・Scalability
・Availability
・Databaseとの一体化
・BASE Transaction
・Fabricを形成する能力

ビジネスモデル、ユーティリティーコンピューティングについて:Sさん


 元IBMのS氏は、「H/Wベンダー、S/Wベンダーそして色々な思惑のある連中が共通する利益追求目的で唱えたのがプライベート・クラウドでしょう」と言い切る。

 BlueWorksの発表も、結局は高価なソフトウェアを購入してもらうためのBaitでしか有り得ないわけですが、OSSで広がった安価なソフトウェア(でも大丈夫なんだという)の現実は、クラウドの登場によって、ハードもソフトも買わなくていいんだという、さらに過激な世界が、ユーザーに受け入れられていくというインパクトです。
 ミドルウェア・ベンダーのビジネス・モデルは、高機能なミドルを開発し、高価な値付けで売って開発費を回収し、利益も出すというものですが、そのライセンス販売の仕組みに大きな影響を与えていくのがAmazonであり、Googleです。この二つを、AmazonやGoogleはIntegrateして、別の解決策があるよ、と示したわけです。

ビジネスモデル、コストについて:私


 publicクラウドを見たときに、敢えて技術要素には触れないで強調すべきことがあるとしたら、次の2点になるんじゃないかと。

1) ネット上でビジネスが完結している点。クレジットカードさえあれば、誰でもすぐにでも利用できる。

 これは私たちも目指すところなんですが、すべて自動化するという、ネットをこれほど活用するビジネスのやりかたには、ほんと驚かされます。営業がいるわけでもなく、SEが使い方をコーチするわけでもなく、エンドユーザ(今のところ開発者主体ではあるけれども)が勝手に申し込んで自由に使えるような環境を提供している。ネットのもつポテンシャルの大きさという意味で、私自身、まだ認識が甘いのかなあと、思い知らされますね。

2) べらぼうに安い点

 宣伝で申し訳ありません。先日、弊社のホームページ(http://www.virtual-tech.net/)をGAEに立てたのですが、その際にかかった費用は、独自ドメイン代の950円/年だけでした。Blogの広告収入が少なく見積もって3000円/年はありますから、なんと黒字になっちゃうんです。
 もちろん、制作費はかかりますよ。でも、全部手作りなので人件費で換算して数万円ぐらいです。安いレンタルサーバに置くより速いし、なんといってもタダなのはいいですね。零細企業の私たちにピッタリのモデルです。なんでこんなに安くできるのか不思議なんですが、一番大きな理由が、たぶん、本業で余ったリソースを提供しているからなんだろうと私は考えています。Googleの本業は検索エンジンでAmazonはECですよね。Googleはコンテナ型データセンターでPUEが1.21なんていう話もクラウド大全にはありましたけど、電力効率なども含めた低い運用コスト以上に、余ったリソースの貸し出しは大きい要素なんだろうと。こんな真似ができるところって限られていますよね。


 実は、1)については、私自身、重要性に気づいたのは、つい最近のことである。きっかけは、先週の金曜日に、Androidをもって、ある社長(ブログ)を尋ねていったときのこと。今後のビジネスモデルについて提案させていただいたのだが、一言で「甘い」と一蹴されてしまったのだ。たしかになんとなく自分でも他力本願というか、ライセンシーをお願いされた方も、ビジネスが付いてこなきゃ意味がないわけで、普通に営業をやって、仕事を請け負う従来のビジネスモデルとなんら変わりのない。営業やサポートの人数も限られている。そもそも、「どうやって売っていくんだ」ということである。

 ところが、もし、ネット上でビジネスが完結できれば、この問題は解決する。アフィリエイトだってあるし、PayPalだってある。PayPal は、個人(サービス提供者)でも契約や長期間のコミットを必要とせず、利用した分だけ支払う手頃な額の取引手数料を支払うだけでクレジットカード支払を受け入れることができる。自分自身、Blogをやって、ネットのもつポテンシャルの大きさを感じているにもかかわらず、このビジネスモデルを何でやろうとしないのか・・・・、いろいろ反省しなきゃと思った次第である。まあ、AmazonやGoogleのようにやれると思い込んでいる自分に、今度は「信用」という厚い壁に潰されることになるだろうと、思わんでもないが。

<追記> Fさんが紹介してくれた翻訳版、これいいですね。=>Above the Clouds: A Berkeley View of Cloud Computing

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