日曜日, 12月 12, 2010

【クラウドコンピューティング】 クラウドごった煮で聞いて各社比較検討 このエントリーを含むはてなブックマーク



昨日、クラウドごった煮というイベントが開催された。cloudmix

Google、Amazon、SalesForce、Microsoftの4強+Niftyの、豪華面子でタイトルの通りごった煮にふさわしい感じの内容となった。どれもこれもHOTな話題で、正直、外の人も、おいつけません。 ><; 

(おっと、Herokuを忘れてた)

Amazonの圧倒的な競争力が印象に残った


 
Niftyクラウドは、国内にiDCがあり、Amazon互換のAPIがあり、人手が不要(API。そして、何といってもU/Iが秀逸である。ただ、強烈な競争力をもつAmazonなどに比べると将来性に不安があるのは拭えない。

Amazonは、無料、1円クラウドからスパコンクラウドまでLine Upを揃え、ストレージについても値下げをどんどん進めている。S3は最安で$0.083/GB/月であり(料金表)Niftyクラウド(11,000円/100GB/月)の約半額で利用できる料金だ。
(ちなみに、AppEngineやAzureは$0.15/GB/月である。)
機能面でも、Niftyクラウドは1ユーザにつきMAX5TBの制限があるが、Amazonでは1ファイル5TBデータをUpできるサービスもあるなど差は大きい。

これで、国内iDCが登場したらどうなるだろうか。

Amazonが安いのは、規模の経済+範囲の経済があるからだと小島さんはいう。AWSは、データセンターやコンピュータリソースはECサービスとは、まったく別のものであるが、共通の調達と運用ノウハウ(範囲の経済)が存分に生かせている。



これはNiftyクラウドに限った話ではなく、クラウドの流行に便乗してホスティングを始めた国産クラウドベンダーすべてに当てはまることだと思う。彼らが熾烈な値下げ競争にさらされたときに、果たしてそれに耐えうるだけの競争力があるのかどうか、ちょっと心配である。

Azureは.Netユーザの心を鷲づかみ。でもスケーラビリティに難あり



Azureの売りはやっぱりクラウド+オンプレミスのハイブリッドだった。

クラウドにおいても、既存のproperty(資産)を最大限に生かしつつ、利用者にとってこれまでのWindows環境とまったく同じイメージでクラウドを使えるようにする、あるいは、クラウドを使っていることを意識させないようにする、ということに最大の関心があるようだ。

Windowsの歴史をみてもわかるように、MSはとにかく下位互換性に相当気を使ってきた。それが開発者の支持を得て、OS2を打ち負かすことにつながった。今回も同様に、.Netサポーターへの配慮を最優先するというMSらしい戦略が背景にあるようである。

ただ、SQL Azureの50GB問題を抱えてもなお、オンプレミスとのシームレス環境を提供しようとしていることで、肝心のスケーラビリティを蔑ろにしている感もある。SQL AzureとKey/ValueのAzure Storage Sericeとの間には大きな設計思想のギャップがあるため、これを乗り越えるには、「破壊的イノベーション」の痛みが伴うはず。

例えば、Azure Storage Sericeでは、PartitionKeyとRowkeyの2つのKey検索しかできないため、SQLを使って複雑な検索処理を行っている業務アプリを移行するのは至難の業である。

果たして銀の弾丸のようなソリューションが出てくるかどうか。これからのAzureに期待したいところだ。

SalesForceはOpen化を加速。生産性の高さ、信頼性に一日の長



Appforce に加えて、Siteforce、ISVforce (AppExchange)といったものが発表されオープン化を前面に出してきたSalesForce。クラウド上で使える企業向けのRDBに近いモデルを REST や SOAP アクセス可能にしたdatabese.comなど、オープンでかつ魅力的なサービスも増えてきている。

SalesForceのすごいところは、雲の向こうですべてをやりきる姿勢を貫いている点。中途半端なことをしないところはさすがSaaSの雄である。

また、クラウドにデータを預けるには大きなリスクが伴うが、SalesForceはこれまでの実績を武器に、安心・安全なSaaS環境を提供できている点もすばらしい。

ちなみに、Azureについては、エンタープライズなどで培った技術という安心感はあるものの、前述したようにハイブリッドを薦めているおり、個人情報の管理にしても保障しないという前提のようである。つまり、完全なクラウド化にはリスクが伴うことを承知しているわけだ。

AWSにしても、 PCIサービスプロバイダ(レベル1)認証など、信頼性はかなり向上させてきてはいるが、実際のロードバランサなどのトラブル対応を聞く限り、安心感というところまでには至っていないようである。

AWSにしてもGAEにしてもAzureにしても解決できていない難問を、当然のように解決している点はすばらしいと思う。

Google App Engineはクラウドの王道を驀進する



GAEの最大の特長はなんといってもスケーラビリティである。(佐藤さんの資料

特に、リクエストの量に応じてサーバのインスタンス数も自動的に増える(AutoScaleする)という点が大変すばらしい。単純な規模の話だけではないのだ。また、本当に使いたいときだけインスタンスが起動するから利用料も圧倒的に安い。

AutoScaleについては、実は、AWSのCloudWatch、RightScaleがあるし、AzureにしてもManagementAPIを使ったサードベンダー製品はある。ただし、実行環境のVMインスタンスがコピーされるため起動に数分~数十分はかかる。一方、GAEであれば、プロセスだけが起動するため長くて数十秒、WARMUPオプションを使用すれば実質0秒である。

ただ、GAEでは、スケーラビリティを考慮するために、Key/ValueストレージであるBigTableにデータに特化したアプリを作る必要がある。当然、実行時間やパケットサイズなどの制限もある。 ユーザアプリは、こういった特殊で制限された環境に特化したものを作らなければならない。

GAEは、このようなスケーラビリティとのトレードオフがあるため、受託には向いてないといわれる。クライアントの要望を断れないのはリスクが高すぎるのだ(by ひがさん)

また、Azure Storege ServiceとDatastoreを比較した場合、同じKey/Valueストアでも、ずいぶんと使い勝手がいい。


* property indexがあるのでkeyだけでなくpropertyの検索が可能
* custom indexを付けることで前方一致検索や大小比較を含む検索が可能
* PartitionKeyのように物理的な配置をアプリケーションで意識する必要がない
* EntityGroupによりトランザクションを実行できる。
* AncestorQueryにより、関連レコードを一括で高速に検索できる
* countを取得できる
* batch get/batch putができる


3 件のコメント:

割と普通 さんのコメント...

割と普通と申します。

Azure Table StorageとGoogle BigTableについて、それぞれ疑問点があるので質問させて頂きたいと考えています。
私の勘違いでしたら申し訳ありませんが、「Azure Table Storageは他のクラウドサービスよりも機能不足」と認識
されているのではと考えましたので、ご一考頂ければと考えています。

・Azure Table Storage
 -Entity GroupによるトランザクションはTable Storage側でも実行できると思います(EGの意味がGAEと異なりま
  す)。どこかの資料で「Table Storageではトランザクション処理はできない」という記述がありましたでしょうか。
 -SQL Azureの提供は既存資産互換のためですが、BigTableに対応するものはTable Storageだと考えて頂きたいです。
  逆に、現時点でGAE側にSQL Azureに対応するものはありません。何をもって「スケーラビリティをないがしろに
  している」とされているのかが理解できませんでした。
 -GAE側でも「「破壊的イノベーション」の痛み」は間違いなく伴うと考えていますが、私の認識違いでしょうか?
  「GAEと比べても相対的にAzureは設計思想のギャップが大きい」と言われているのか、純粋「にクラウドサービ
  スなので設計思想のギャップが大きい」のかが理解できませんでした。

・Google BigTable
 -BigTableはCountが取得できるのでしょうか。私が調べた段階では効率的な取得方法が存在しなかったのですが、
  「全件データを一旦取得する」等の方法以外がBigTable側で提供されているのでしょうか?
  ※Azure側でも「見た目上はCountを実行する処理」は書けますが、分散KVSの特性を生かすためにはCount用のテ
   ーブルを作成する必要があります
 -Table Storageでも「前方一致検索や大小比較を含む検索が可能」は可能だと考えていますが、LINQのWhere関数
  等を利用した処理では意図された処理しては不十分でしょうか?
 -「PartitionKeyのように物理的な配置をアプリケーションで意識する必要がない」は、意識したくなければ意識す
  る必要はありません。データ検索の速度を向上させるために与えられた設計パラメータです。逆にGAE側では「物
  理配置を意識することなく、常に高速な検索が可能」という事でしょうか?
  ※以下の記事を通読していたので、疑問に思っていました
   http://agilecat.wordpress.com/2010/05/29/%E3%83%A1%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%EF%BD%A5%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89%E3%81%AE%E6%AF%94%E8%BC%83%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-part_1-%EF%BC%9A-%E6%80%A7%E8%83%BD%E3%81%AF-amazon-s3-%E3%81%A8/
 -「batch get/batch put」の処理ですが、同じくAzure Table StorageのEntity Group Transactionでは不足でしょ
  うか?


また、SLAについての言及がなかったことが気になりました。Azure側では99.9%~99.95%のSLAを保証しておりますが、
GAE側は現時点ではSLAを提示していません。その辺りもご考慮頂ければと考えています。

takezaki さんのコメント...

割と普通さん、コメントありがとうございます。別エントリーにて回答いたします。少々お待ちください。

takezaki さんのコメント...

http://blog.virtual-tech.net/2010/12/google-app-engine-azure.html に回答を書きました。

 
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