土曜日, 12月 23, 2006

[winny] 結論 このエントリーを含むはてなブックマーク

IBM時代のころをいろいろ思い出すと、自分の原点を見つめなおすことができる。私は待遇に不満があるわけではなかった。むしろ高く評価していただいたと思う。IBMに育ててもらったし、嫌いなわけではない。やめた今でもお付き合いをさせていただいている。というか、一番大きな取引先である。 それなのに・・・・なぜやめたか。 それは、Reflexを作りたかったからだ。 Reflexは、「P2Pで安全に商取引ができるインフラの提供」を目的としたミドルウェアであるが、なぜP2Pにこだわるかをここでちょっと説明したい。
一極集中から新しいパラダイムが生まれて分散へ流れ、それから、また集中に動く。 これをITにおける輪廻という。 (by IBM 中島DE)
YahooやGoogleといった巨大なポータルサイトもあるが、インターネットは、原理的にはIPによる個々のコンピュータによるネットワークである。すなわち、基本的に分散型であり、インターネットの特長を最大限に生かすには、P2Pのような分散型が最適であると考えられる。 今、WEB2.0という新しいパラダイムが生まれて、CGMという個人の情報が重要だと認識された。 CGMを最も効率よく流通させるのは、インターネットの特長を生かしたP2Pであることは、疑いようがない。 また、今後膨大なCGMが発信するようになると、1極集中型が破綻すると私は予想している。ムーアの法則がサチッてきている以上、横に広がる以外ないのだ。 なので、私は新たな流通基盤が必要となる時代は必ず来ると信じている。これがReflexを開発している動機である。 今は、WEB2,0は「あちら側」という言葉に代表されるように、巨大プレーヤーによる演出に目を奪われがちであるが、なんのことはない、Googleだって個々の情報で商売しているだけではないか。たしかに、すばらしい検索能力をもっているので、Googleがまるで情報を生み出しているような錯覚を覚えることはある。しかし「情報発電所」は勘違いであり、「発電」しているのは個々の情報発信者である。 P2Pは「あちら側」でもなく「こちら側」でもない。単に個々が連携しあって成り立つネットワークである。繰り返しになるが、これがインターネットの本質であると私は思う。P2Pの検索システムは、インターネットが存在する限り、破綻することのない無限の可能性をもったシステムである。Skypeは無限のユーザ数に耐えうるそうだが、要するに、そんなようなものだ。 インターネットに問い合わせるだけで、得たい情報を得ることができるようになった。しかし、現在は、Googleにしか問い合わせることができないのが問題だ。私たちの情報を無断で利用し、他に検索手段がないことにつけこんで、いろいろ商売を行っている。私はこのような「あちら側」を撲滅したい。Google八分という言葉をご存知だろうか。インターネットはもっと公平であるべきだし、自由であるべきだ。P2Pであれば誰からもコントロールされず、また、「あちら側」の撲滅が可能だと思う。 Reflexで「あちら側」の撲滅が可能とは到底思えないが、まずは、ここに述べたような分散型の理想のネットワークを実現させたいとは思っている。私はそのためにIBMをやめたのだった。 特定プレーヤーによる1極集中ではない、バーチャルで分散型のネットワークの実現。それがバーチャルテクノロジーという会社の目的だ。バーチャルには「本来の、本質的な」という意味がある。「バーチャル=仮」ではなく、「本来」のものを得るための技術という意味で、バーチャルテクノロジーという名前にした。 私は著作権破壊とか、ほう助とか、決して望んでいない。しかし、Reflexを開発し、公開することで、結果的にそうなってしまうかもしれない。一時は開発を断念しようかとも思ったが、今はそれで有罪になってしまうのであれば、やむをえないかなと思っている。 技術の進化は誰にもとめられない。

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