日曜日, 12月 17, 2006

[Winny] 開発者がなぜ萎縮するか このエントリーを含むはてなブックマーク


まず、白田氏のこちらを読んでもらいたい。Winny事件判決の問題点 開発者が負う「責任」とは


極めて簡単に言えば、「Winnyが違法コピーに広く使われているってこと、知ってたでしょ。それにもかかわらず、Winnyの改良をしたでしょ。だから幇助」ということになる。この判決骨子の論理では、「画期的なソフトウェアを開発したプログラマが、実験的にリリースしたら、利用者に思いもよらない使い方をされてしまった」というだけでは幇助にならない。また仮に「思いもよらない使い方で反社会的な効果が生じてしまった」と認識した後に、とくにその反社会的な効果の拡大につながる積極的行為をしなければ幇助にならない。だから、「ヤバい」と思ったら配布公表を停止すればよいことになる。それ以上の責任、たとえばソフトウェアの回収とか削除までしなければならない等は、どこにも述べられていない。

 だから、この事件が一般的に「プログラマや技術者に無理解な不当な判決であり、今後新しい技術を開発するにあたって萎縮効果をもたらす」というのはやや誇張された主張で、金子氏や弁護団のみなさんがこの点を声高に言い過ぎると、かえって金子氏の立場の正当な要素を損ないかねないと危ぐする。もちろん、このくらい簡単に誇張して言わないとマスコミの人たちや一般の人たちに分かってもらえない、という気持ちも良くわかるんだけど。あくまでも「幇助概念」に関する法律論が主戦場である本件判決を、無理して別の価値に関する議論の文脈におくと、たぶん、なにかがゆがみはじめる。


私たち開発者にとって関心があるのは、開発したソフトを公開したときに、有罪になることがあるかどうかの1点だけだ。

この記事を読む限り、自由に開発して公開しても有罪にはなりえないが、著作権侵害に利用されていることを知りながら、著作権侵害を助長するソフトを開発し続けると有罪となる。

判決が出た後である現在では、Winnyを開発することは当然有罪になり、また、「それと同等の機能」をもったソフトを開発して公開することも有罪になると思われる。そうでなければ、名前を変えてWinnyを開発し続けられることになる。

一番の問題は、「それと同等の機能」を開発して公開すると有罪に問われる危険があるということ。「それ」とは、P2Pにおける匿名性をもったファイル交換技術だ。なぜなら、「それ」を実装したソフトは、Winnyでなくても、全く同じことが可能になるからである。

Reflexは、ここにも書いたが、 WinnyはITの核兵器なのか「それ」を実装している。そして、Winnyが著作権侵害に利用されていることを知りつつ開発したことになるので、使われ方によっては、金子氏と同罪になる危険性がある。なので、私は開発をストップせざるを得ないかなと考えている。

このように、判決が出たあとでは、明らかに対応が異なるのであって、これは萎縮ということになるだろう。白田氏の意見は、実際の現場をよくご存知ないのかなと思うしだいである。繰り返しになるが、私のように萎縮してしまう開発者は大勢いると思われる。

司法は、開発者が萎縮してしまわないような、判決をすべきであると思う。今のままでは、何をしたら大丈夫なのか、まるでわからない。少なくとも、Reflexを公開して有罪にならない補償はない。やはり、遠山の金さんに聞くしかないのかなあ。

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