土曜日, 1月 16, 2010
【政治】 グーグル サイバー攻撃に思うこと
GMAIL不正侵入問題で攻撃元となったサーバは中国政府関係者のものと同一だったというニュースが流れた。もしこれが本当なら国際社会から中国政府が釈明を求められる可能性があるとのこと。中国政府からの検閲を嫌って中国事業からの撤退も検討しているGoogleの動向にも影響を与えそうだ。
中国に関しては、これまで経済と政治は別物と見ていたのであるが、今回の一件で、両者は密接に関係していることを十分に認識させられることになった。しかし、1IT企業の対応が国際政治にまで影響を及ぼしたことには驚きである。
10年前に上海に行ったときには、活気あふれる街の雰囲気とはうらはらに、政治的なリスクを感じ得なかったので、いつかはこういう事件が起こるのではないかとは思っていた
ただ、言論の自由が保障されないお国の事情があるのもわからないでもない。13億人、55の民族からなる国家体制を維持するには、全体主義でやっていくしかない。急激な民主化はソ連崩壊のときと同じように、地域紛争を勃発させる危険もある。言論の自由、民主化を進めた結果、多くの人血が流れるという事態は避けなければならず、当然、これはその国の政府が責任をもってやっていくことでもある。言論の自由は国の政治体制に影響を与えかねないのだ。
今回の事件を受けて、岡田外務大臣が、「規制の裁量権はそれぞれの国にある」としながらも、「自由で民主主義の国に生きる我々として、言論の自由は可能な限り保障されるべきだ」と暗に中国を批判した。大臣のように正論を一方的に主張することは簡単だが、それがもたらす結果と責任をふまえ、現実論にもう少し踏み込んでもらいたい気もする。
中国の全体主義を理解するには、中華思想を理解するのが早道だと思う。中国人が語る中華思想がとても生々しくてわかりやすかった。
価値観という意味では、日本は欧米型の「個人主義」があり、それから、無意識のうちに世間体や恥の文化に支配されている。無宗教であるが世間様という絶対神には逆らえない。
でも日本は個人の尊重があるからこそ公害などを乗り越えられたと思うし、世間体や恥があるからこそモラルを高く維持して犯罪発生を防いでいるとも思う。住みやすい環境で安全に暮らしていけるのは、こういった日本独自の文化があるおかげだと思っている。
上海の大気汚染や、揚子江の水質汚染はとても酷いものだ。今より高収入になったとしても、そこに住もうとは思わない。
困ったことに、揚子江から流れる栄養塩のせいでエチゼンクラゲの大発生などが東シナ海で起きている。大気汚染が九州の方に流れたために、光化学スモッグ注意報が佐賀県のど田舎で起きている。こういった環境汚染は日本も無関係ではない。
中国の石炭の火力発電所建設などでは日本企業も支援していたらしいが、高度な脱硫技術をもっているにもかかわらず、現地の法律の基準が甘いとの理由で、わざわざ脱硫装置を外して導入したという話も聞いた。当事者にとってみたら、コストを安く導入できるので、ありがたい話なのかもしれないが、結局は自分たちがそのつけを払うことになると思う。
たぶん、このあたりのモラルも高くしていかないと、国際社会では説得力がない。これから日本は環境立国でやっていこうと思うならなおさらである。
一企業であってもGoogleのように強い姿勢で望むべきである。日本の環境基準を押し付けるぐらいの迫力で、政治的な摩擦を恐れず、どんどんやってほしいものだ。
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