日曜日, 1月 14, 2007

ビジネス優先とはどういうことか このエントリーを含むはてなブックマーク

まず、Reflex開発優先ではなく、リアルビジネスを優先すること。私はこの判断は間違いではないと思っている。ある程度作ったものをリアルの世界でも試してみて、そこで得られた結果が反映される。これはアジャイルの基本だし、Web2.0のサービスが往々にして「永遠にベータ」といわれるのはこういう理由からだと思う。

T社長の一言、「うちを実験場だと思って結構」。この言葉に釣られた感じはあるが、そもそも実験場にしたところで後ろめたいことは何もない。
結果としてお客様の満足度は高まるのはまず間違いない。これはIBM時代からやってきたことだし、お客様は決してだまされたとは言わなかった。その代わり、成功が絶対条件だ。

1997年、日本で初めてWebSphereを導入いただいたお客様は私に騙されたふりをしてくれた。
当時は
CGIに比べて品質、パフォーマンスに劣るServletを業務に使うなんて到底考えられなかった時代である。私は求められても比較表を書かなかった。ただ、将来のためにWebSphereを使ってほしいと説得しただけである。その後、Servletはアプリケーションサーバとなり、普通に使われるようになった。

実は、説得という意味では、お客様よりIBM社内の方がきつかった。当時では普通であったNet.Dataをなぜ提案しないのか、WebSphereのような不安定なものを導入して、リスクはいったい誰が取るのか、TCTという技術リスク検討MTGのときにいろいろ言われた。でもなんとかソフトウェア事業部を味方につけてやり遂げたのだった。

IBM社内のネガティブな点については、もっといいたい。

LAMPの兆しが出始めの
2002年末から2003年初頭、私はあるお客様の受発注システムで、Linux+PHPを提案した。2003年はIBMがオープンソースビジネスに本腰を入れるはじめた年で、その年の戦略キーワードにはLinuxの文字がはっきり書いてあった。私は驚きつつもIBMの戦略の意図は読み取れたので、AIXではなくLinuxで、WebSphereではなくPHPで提案した。1997年にWebSphereを提案した時代とは異なり、次のパラダイムが起きようとしていたのである。提案はお客様に受け入れられたのだが、いざプロジェクトがスタートという時期に、私の転属が決まり、そのプロジェクトは後任に任せざるを得なくなった。ところが、その後任は、私の提案を捨て去り、AIX+WebSpereで再提案をしたのだった。1997年に比べてTCTは簡単にクリアできるだろうが、今更WebSphereを提案することに、ITスペシャリストとして何の意味があるのだろうと私は思った。彼は1997年にWebSphereを提案できただろうか?あるいは、Web2.0全盛の今であれば、きっとその彼もチープ革命とかいって、LAMPを提案するかもしれない。だがそうじゃないだろうと思う。業界をリードするIBMであるならば、猫も杓子もWeb2.0の今よりも、もう少し早く提案しなきゃだめなんじゃなかろうか。それに、LAMPは少なくとも3年前に一度提案して破棄されたものなのだ。今のお客様に提案したところで、果たして受け入れてくれるか疑問である。私がお客様だったら、責任もって未来永劫、AIXとWebSphereのサポートをせよと要求するだろう。

1997年
  お客様の将来よりもその時のビジネス優先(Net.Data)
  その時のビジネスよりも将来を優先(WebSphere)

2003年
  お客様の将来よりもその時のビジネス優先(AIX+WebSphere)
  その時のビジネスよりも将来を優先(LAMP)

本当のビジネス優先とは、現在だけでなく、将来も担保してあげることなんじゃなかろうか。
それには、慧眼の持ち主でなければ成しえないとは思うが。





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