日曜日, 1月 14, 2007

ビジネス優先とはどういうことか その2 このエントリーを含むはてなブックマーク

先の投稿では偉そうに書いたのだが、よく思い出してみると、私も失敗していたことがあった。そのことについても触れねばなるまい。

Y運輸様の荷物追跡システムの最初のリリースでは、OS/390で動作するWEBサーバのCGIプログラムによるものだった。信じられるだろうか?AIXどころかS/390である。S/390で作ったのが失敗だったというわけではない。むしろ、その逆の話であった。

当時、OS/390は、UNIXファイルシステムの拡張がなされ、同時に、CコンパイラやWebサーバなどのいくつかのUNIXのプログラムが移植されていた。今ではLinuxも動作するので驚くことはないが、当時はオープン化の最初の段階である。その仕組みはまったく想像すらできなかった。どれもこれも、やっと動くというレベルであり、実用上のパフォーマンスは望めなかった。そのうえ、EBCDICコードである。どう考えても、AIXで作った方がいいにきまっている。しかしAIXは単なる開発機だ。そこで開発したものを、OS/390に移し、わざわざコード変換して動作させていた。繰り返しになるが、開発機の方がだんぜん速い。

私は技術者として非常に後ろめたい気持ちになり、こっそり比較表を作ってお客様に公開した。
その数時間後、IBMの営業にどなられた。

「S390を選択していただいたお客様の立場を考えろ。」

当時はすでにダウンサイジングが進み、F社はホストをやめてUNIXにしようとしていた。
だが、お客様はUNIXは尚早と考えている。一方、IBMはOS390のオープン化といった新しい可能性を追求していた。お客様は、ホストというプラットォームにおいて、「将来にわたっての」IBMの真価を見極めようとしていた。要するに、WEBサーバのパフォーマンスはあまり重要ではなかった。私は見せなくていいものを見せたのだが、幸運にも大事に至らず、お客様はOS390を支持してくださり、前代未聞のS390<->F連携システムによる、荷物追跡システムができた。その2年後、UNIXサーバがお客様内で認知され、ご導入いただきWebは移行された。F社ではなく当然のようにIBMのUNIXサーバが採用された。荷物追跡システムの成功により、e-BusinessはIBMというイメージは焼きついていたからである。さらに、基幹システムであるデータベースサーバも導入いただくことができた。いわゆる、WinBackであった。

ビジネス優先とはこういうことだった。

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