金曜日, 4月 17, 2009
【クラウドコンピューティング】 弱者連合とスケーラビリティ
年初にクラウド予想2009をやった。これはだれでも容易に予想できる内容ではあるのだが、3ヶ月経った今では、「1)コストダウンは急速に進む」、「4)大手ITベンダはクラウドの大合唱」は言わずもがなとなった。
コストダウンに関しては、Amazon S3は昨年11月に値下げして以降、一括支払いでさらに値下げ、SimpleDBを使えば6ヶ月間無料になるという話があり、その急激な値下げには驚かされるところとなった。
「大手ITベンダはクラウドの大合唱」は予想通り自社製品のクラウド化が進んでいる。具体的な中身は、SunによるSun Open Cloud Platformの発表や、国内ではKDDI クラウドサーバサービスの発表があった。またIBMやCISCOなどによる、Open Cloud Manifestoなどの標準化の話も出てきた。
そして、「5)OracleやMSは自己矛盾には陥らないが苦戦する」予想は、MSがAzureでかなり善戦しそうな感じを受けるもののSDSでの混乱ぶりがニュースとなっており今後どうなっていくか注目である。<関連>Azureに思うこと
概してクラウドはコンサルがミソクソな話をしだしていることもあってバズワード化に拍車がかかっているのは否めないところである。だが、ここでクラウドの特長であるスケーラビリティの観点から話を整理すると重要なポイントが見えてくる。
先日、ある大手ITベンダーのクラウド製品/サービスの説明があった。そのサービスがスケーラブルかどうかの質問が挙がったが、担当者はスケールアウトはしないがスケールすると答えていた。VM技術はつかうものの必要に応じてハイエンドの製品も使う。これは自社製品を無尽蔵に並べるサービスを提供することを意味していた。まあ、スケールアウトしなければ困るような大規模トランザクションなんてそうないだろうからそれでもいいのだろう。
しかし、その話とスケールアウトしない話は別である。スケールアウトしないがスケールするというのはコストを無視した考えである。お金にいとめをつけないからクラウドでよろしくなんていう太っ腹な企業は別にして、コンシューマ相手では、このご時勢もあって相当な低価格でないと競争に生き残れないだろう。そして、それはタダ同然のレベルだと思う。
先日、Google App EngineのJava対応が発表された。これを受けて、makers-hubという試みもはじまっている。「製造業向けネットサービスは無料に出来るんです。」だそうだ。
こういったなかで生き残れるのは、GoogleやAmazonといった2強と、日本では、はてなぐらいじゃなかろうか。彼らに共通するのは、コモディティサーバを束ねてスケールアウトできる技術をもっているということ、それから、広告モデルという別の収入源をもっていること。コモディティサーバとOSS、広告モデルが競争力の源泉。とにかくお金をかけないでサービスを運用する技術とノウハウは大変なものである。そういう意味で、SQLServerを並べる戦略に転換したMSのAzureの競争力には疑問が残る。その運用コストは決して安くはないだろうから、しばらくは太っ腹を相手にしながら、スケールアウト技術を開発して競争力をつける戦略なのだろう。MSでさえ競争力に疑問が残るのだから他のベンダはなおさら厳しそうである。Open Cloud Manifestoが弱者連合と揶揄されるのはわかる気がする。しかし、新規の顧客開拓は厳しい一方で既存顧客の囲みこみは成功するとは思う。クラウド要求に応えられない大手ITベンダーはもっと苦戦すると思われるので、何かしら出さざるを得ない状況なんだろう。先の担当者が、「GoogleやAmazonとは真っ向勝負する気はない」といっていたのが印象的だった。
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